桜三月散歩道(『まんがNo.1』ヴァージョン)
作詞:長谷邦夫
作曲・歌:井上陽水
語り:大野進
ねえ 君、二人でどこへ行こうと勝手なんだが
川のある土地へ行きたいと思っていたのさ
町へ行けば花がない
町へ行けば花がない
今は君だけ見つめて歩こう
だって人が狂い始めるのは
だって狂った桜が散るのは三月
(語り)
夏の日の夕方 水泳から帰った僕たちは
みんな真っ白なシャツを着ると
色の剥げた貨物船のような倉庫のある
細い道に集まるんだ
僕らがキャッチボールを始めると
道路は瞳の中の涙のように急に広がって
白シャツも影の中に沈んでしまい
白く光るのは たった一つの健康ボールだけになっちゃうんだな
ねえ 君、二人でどこへ行こうと勝手なんだが
川のある土地へ行きたいと思っていたのさ
町へ行けば人が死ぬ
町へ行けば人が死ぬ
今は君だけ追いかけて走ろう
だって僕が狂い始めるのは
だって狂った恋が咲くのは三月
(語り)
秋 やっぱり夕方近くになると
僕たち子供は家の窓を開け
涼しくなった空を見上げてから
江戸川の堤に駆け登るんだ
みんなで影を連れてね
帝釈天の向こうの夕日が
太い煙突に吸い込まれるまで
影踏みをして遊ぶんだ
影を踏もうとすると
影は驚いた魚のように逃げたっけ
ねえ 君、二人でどこへ行こうと勝手なんだが
川のある土地へ行きたいと思っていたのさ
町へ行けば革命だ
町へ行けば革命だ
今は君だけ想って風になろう
だって君が花びらになるのは
だって狂った風が吹くのは三月