Graham Bond - Holy Magick

 そうかそうか黒魔術的思想を取り入れたバンドか…ってもそんなの70年代初頭くらいまでしか存在してないんだからなかなか多数はいないよな…ってことで、ロックの世界では代表的なのがGraham Bondさんだろうなぁ。悪魔に身を捧げますっていうメモまで残して地下鉄に飛び込んでしまった…ってお話だし。まぁ、それがホントかどうかはともかく、そんな憶測が世界に広がるくらいまでには黒魔術に傾倒していた人ってことです。60年代初期から鍵盤奏者として活躍していて、ジャック・ブルースやジンジャー・ベイカー、ジョン・マクラフリンやディク・ヘクストール・スミスなどなど英国のジャズ・ロック系ミュージシャンを配下に従えて自身のバンドでフリーな世界を確立した第一人者でもあった。アルバム「Sound Of '65」はその時代の雰囲気が見事につめ込まれている重い名盤。ハモンドが重いんだろうなぁ…これ。

 さて、そのグラハム・ボンド…、グレアム・ボンドっつう読み方もあるらしいがこれもまた25年くらいその読み方なのでグラハム・ボンドです、自分では(笑)。が1970年にリリースしたその名も「Holy Magick」というアルバム。「Magick」の末尾の「k」が付くスペルを使ってる時点でわかる人にはわかるし、アルバムジャケットはストーンヘンジに自らを捧げる信者だし、その手のシンボルを知っている人にはメッセージとしてはかなり通じるワケで、まぁ、それがセールスに繋がるとは到底思えないのだが、グラハム・ボンドの場合は売りとして黒魔術を用いたのではなくって本気で信者だったワケだからこうしたメッセージがチープなものに見えないのだな。ちょっと怪しい…って感じでそれがまた本物っぽい。

 逸話ばかりの話題になってしまっているが、そもそも技量のあるミュージシャンでハモンドを扱わせたらヘヴィなロックプレイをこなしてくれる人なワケでしてね、それはもう「Sound Of '65」の頃もそうだし、本作「Holy Magick」でも重々しく鳴らしてくれてます。ジャズ・ロック…って言うかハモンドロック、そこにフリーなプレイが各楽器で絡んできて何か怪しげな雰囲気のエッセンスが振りかけられている長い長い作品。ず〜っと聴いてると何かにハマった気がするくらいの諸悪さは持っているのが興味深い。まぁ、レコード聴いたくらいで黒魔術できるわけじゃないから恐れることはないんだけど、なんかね、取っ付きにくいのは当たり前、か。普通にハードでサイケで重いオルガンロックで、音だけの評価だったらちょっとキツイだろうなぁ…と。

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